あかちゃん歯科、聞いたことがありますでしょうか?
小児歯科の前の時期の歯科治療です。
不正咬合と言って、歯並びの乱れの原因には遺伝的なもの、環境的なものがあります。
永久歯の不正咬合はさかのぼると乳歯の歯並びまで考えなくてはいけません。
歯並びの乱れは胎生期や乳幼児から生じることではありませんが、歯並びの悪さとなり得る環境要因を取り除き、健全な永久歯の並びや顔の変形など、きちんとした成長を促してあげることがあかちゃん歯科の目的です。
環境要因については次回以降にお話致します。
お母さん達に正しい知識を学んでいただきたいと思います。
胎生期から、また乳幼児期に健全な成長と発育のためには、お母さんの存在が一番大きいです。
お子さんを授かろうとした時期から正しい知識、情報を知っていただきたいというのが、我々歯科医師の思いです。
諫早でも「あかちゃん歯科」という言葉をお母さん達に知っていただきたいと思っています。
あかちゃんのことは歯科医師だけでは担いきれません。
小児科医、看護師、歯科衛生士、医科歯科、小児歯科の先生方とこのような問題にアプローチしていかなくてはいけない時代です。
私もお子さんの治療をよくしてきましたが、顎が変形していたり、左右の顔のずれがあるお子さんを見ることが多くなってきました。
胎生期の母体の環境や、出生時産道を通過する時の影響の可能性があります。
今回はお母さんの骨盤の変化についてお話をしたいと思います。
胎生期、出生時に起こり得る環境的な問題はどんなことでしょうか?
昭和中期に比べ女性の骨盤の形態は大きく変化しました。
【1980年代】
細長型:25%
丸型 :58%
扁平型:17%
【2010年~2012年】
細長型:47%
丸型 :45%
扁平型: 8%
昔で言う安産型である丸型が減って、スリム型である細長型が増えてきています。
これが出生時の頭部の変形の原因の一つになっています。
今回もお母さんの骨盤の変化についてお話をします。
前回、細長型が増えてきています、というお話をしました。
骨盤の発達について知っていただきたいのは、骨盤の発達の一番重要な時期は思春期なんです。
思春期と言えば中学生から高校生の時で、部活などで急激な運動をしますが、歩くことなどの軽度から中等度の運動が不足しています。
運動不足、歩行不足が骨盤の形態を変化させてきている可能性が高いと言われてきています。
強度な運動ではなく、歩くことを増やすことで、骨盤の形態も丸型が増えてくるかもしれません。
胎児が子宮内で正常な位置で育つことも重要です。
顔の温度はおでこから顎にかけては低いです。
こめかみや耳の中は動脈が近いので結構温度が高いです。
よくやけどしたら耳たぶを触りますが耳たぶは温度は低いです。
するめを食べるとどんな風に温度が上がるか想像してみてください。
こめかみのところの筋肉が動いて温度が上がります。
おでこから顎にかけて温度が低かったところも温度が上がっていきます。
筋肉をしっかり使っていただくと顔全体も温かくなります。
お顔も温度が温かい方が健康的です。
今回は柔らかいもの、固いものを食べたときの顔の温度変化、筋肉の仕事量を考えて見ましょう。
プリンを食べる時はどうでしょうか?
ほぼ筋肉の使用量はなく、顔の温度変化もほとんどありません。
ハンバーガーはどうでしょう?
プリンに比べると筋肉を使いますので、少しだけこめかみの周辺の温度が上がってきます。
りんごを丸かじりしてはどうでしょうか?
こめかみ周辺の筋肉をかなり使いますので顔全体の温度が上がって血流が良くなります。
噛む事で血流が良くなり、脳にも血流が行きやすくなり、脳の働きも良くなります。
ある日突然、元気だったお猿さんが亡くなりました。
獣医の先生方が解剖したところ、頭蓋骨の後ろに穴が開いていました。
原因は虫歯でした。
行楽客がお菓子を与えて虫歯になります。
おじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんの関係にも似ています。
虫歯が原因で骨髄炎になったり、肺結晶になり多臓器不全をおこして死にいたることもあります。
前回お話したお猿さんは虫歯によって神経が死んでしまい、根っこの先に膿が溜まり、脳まで感染をおこしてしまい頭蓋骨に穴が開いてしまいました。動物は口と脳が近いので感染をおこしやすいです。
小児の場合、原因不明で熱が引かないとき、歯が原因のことがあります。
虫歯と血液の関係を調べたとき、虫歯が3本以上ある子とそうでない子で白血球の数が多かったというデータがあります。白血球が多いということは炎症が体の中で起こっているということです。
虫歯が持続的な細菌の感染源となる可能性があり、全身にも影響することがあります。
「虫歯の洪水」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
1970年代、高度成長期の真っ只中で保護者の方も仕事に忙しく、虫歯の予防の知識もないまま、お子さんに甘いお菓子を子守代わりにあげていたこともよくあることでした。
1970年前半、脱脂粉乳には砂糖が8%~13%入っていたそうです。
当時の治療は歯を削って詰めるという治療が多かったです。
乳歯の虫歯は永久歯に引き継がれて永久歯の健康が守れなくなることがあります。
現在は保護者の方にはブラッシング指導を徹底して行っています。
定期的に歯科医院で歯石を取り予防の体制を取っています。
低年齢では虫歯の治療をしても再発のケースが多いのでご注意ください。
最近虫歯は減ってきています。
また、栄養状態が良くなり歯のサイズが大きくなっています。
それにより歯列不正が多くなっています。
過蓋咬合と言って噛み合わせの深い方も増えています。
また、口呼吸をする方も増えています。
ここ10年で歯列の幅が狭くなる狭窄歯列と口呼吸する方が本当に増えています。
口呼吸する方は雑菌が入りやすいので冬場にインフルエンザにかかりやすくなります。
口腔機能低下は育児方法も変わってきたこともあり、問題ではないかと言われてきています。
30年~40年前、食事の際にどのような姿勢でいるように言われていたか。
背筋を伸ばして、肘をつかない、と言われていました。
今はどうでしょうか。
テレビ見ながら、スマホをいじりながら、食事をすることもあると思います。
姿勢が悪くなると唾液の分泌量が減ってきていると言われています。
また、食事の際に水で食べ物を流し込むことがあると思います。
水を飲むと脳は唾液の分泌はそれほどしなくてよいと判断してしまいます。
前回、味覚障害のお子さんが多くなってくるとお話をしました。
今後起こりうることをお話します。
入れ歯はだ液で吸着します。
入れ歯と粘膜の間にだ液が介在するとくっつきます。
だ液を出しにくいお子さんが高齢者になり入れ歯を使用する際にくっつかなくなってしまいます。
だ液が少ないと、滑舌が悪くなります。
さらにだ液が無くなってしまうと、食パン1枚食べるのも大変です。
滑舌が悪くなったり、飲み込みができなくなったりすることをオーラルフレイルと言いますが、子供のうちから起こり得ますのでご注意ください。
食べ物を食べる際に水で流し込んでしまうと、脳はだ液の分泌をそれほどしなくてよいと判断してしまいます。
日々診察していると、お子さんのだ液の量が減ってきていると感じます。
だ液の分泌量が減ると味覚障害に繋がります。
酸味、塩味など感じにくくなります。
食べ物を水で流し込んでしまうと、薄味が分からなくなってきます。
京都のおうどんなどは日本人にしか分からない奥深い繊細な味わいがありますが、そういったものが味わえないようになってしまいます。
例えば6月4日(むしば)、11月8日(いいは)などは諫早市の歯科医師会でもイベントを行っています。
他にどんな日があるでしょうか。
4月6日:歯を白くするの日
8月1日:歯が命の日
8月3日:歯みがきの日
8月26日:歯にむしの日
8月20日:8020運動の日
9月6日:黒い歯の日
10月8日:入れ歯の日
11月25日:いい歯でにこにこの日
みなさんも歯に関してどんな日があるのか考えてみてください。
みなさんコーヒーはお好きですか?
コーヒー250ccに1本3gのシュガースティックを入れると甘くなります。
缶コーヒー1本に入っている砂糖の量はシュガースティック8本分の24gです。
砂糖24gは約100キロカロリーあります。消費するには自転車で30分、ジョギングで15分の運動が必要です。
デスクワークの方はカロリーオーバーの傾向がありますのでご注意ください。
次のうちむし歯ができるお猿はどれでしょうか?
(1)お猿の口にミュータンス菌を与える
(2)お猿の口に砂糖を与える
(3)お猿の口に砂糖とミュータンス菌を与える
正解は(3)です。
歯と砂糖とミュータンス菌が組み合わさるとむし歯になります。
砂糖を口にしていない1歳児の歯は光沢感があります。砂糖を多く取っている場合、歯がくすんで見える1歳児もいます。お母さん方はミュータンス菌を減らすために1日1回はお子さんの歯をしっかり磨いてあげてください。
野生の猿に切ったスイカを与えると次のどこから食べるでしょうか
(1)皮
(2)種
(3)実
正解は種です。
猿は種をほじくって食べ、その後実をたべます。
是非動物園に行った時に見てみてください。
実は種が一番栄養があるので、猿は種から食べます。
私たち人間も種を食べます。次回はこの種について考えていきたいと思います。
米、小麦、ピーナッツ、くるみ、とうもろこし、枝豆、栗、ぎんなん、大豆や小豆も種です。
お豆腐、納豆、味噌、醤油なども種からできています。
種は命をつなぐものですので栄養が豊富です。
種の殻はとても固いです。
なぜかと言うと、動物が種を飲み込み消化されずに遠いところでうんちをします。
そして遠いところで発芽します。
人間は固い殻を歯で噛み砕くことができるので栄養にすることができます。
「おばあちゃんが自分のスプーンで孫に食べさせた、信じられません」と言ってくるお母さんがいました。
ずっとお母さんは気をつけていました。むし歯菌は本当に感染したのでしょうか?
昔はスプーンで子供に食事をあげるのは当たり前のことでした。
おばあちゃんからすると愛情表現でありコミュニケーションです。
むし歯菌(ミュータンス菌)が母子感染であることは確かですが、次回は、お母さん方の不安作らないように指導をどうすればよいかということをお話したいと思います。
感染という言葉は、歯科従事者でも誤解して使われることがあります。
感染が成り立つには、
第一に、細菌が体に入ること、侵入と言います
その次に、細菌が体内に住みだすこと
その後、細菌が体内で増殖する
侵入、定着、増殖、この3段階をもって成り立つのが感染です。
おばあちゃんが自分のスプーンで食事を与えることを控えることは、侵入を予防することになります。
以前、カイスの輪ということをお話したことがあります。
むし歯菌、歯、砂糖の3つが揃うと感染が成立しやすくなります。
母子感染しますので、お母さんが治療して定期的にクリーニングしていただきますと、子供への感染率が低くなります。
バナナうんちとビチビチうんち、どちら健康的でしょうか?
やっぱり、バナナうんちですね。
和食、ファーストフード、どちらを食べている人が健康でしょうか?
はい、和食ですよね。
健康に良いと言われる和食を食べていて、ビチビチうんちをしている
ファーストフードを食べていて、バナナうんちをしている
どちらが健康的なのでしょうか?
何を見ているのかによって考え方が異なります。
食べ物を見ているのか、腸内細菌の状態を見ているのか、によって異なります。
今の食育というのは、体に良いものを食べさえすればバナナうんちが出ると思われがちですが、そうでない場合もあります。
栄養士さんは口の外からの食育を考えます。
歯科医は口に入ってからの食育を考えます。
食育について考える時、口に入る前の食育と口に入ってからのの食育を考えなくてはいけません。
管理栄養士さんは口に入る前に栄養の良いものを考えていただけると思います。
歯科から見た食育の場合は口に入ってからです。
噛まずに栄養ある野菜の多い食事をしても、消化不全を起こしてしまいます。
食育にはどのように食べるかという観点も必要です。
歯が無いおじいちゃんやおばあちゃんと同じもの食べていても、おじいちゃんやおばあちゃんは体調が悪くなったりします。健康に良い栄養のある食事でも歯が健康でなくては体には良くないということです。
生活習慣病の中の歯周病は慢性疾患です。
横の人間関係がしっかりしていないと歯周病は治っていきません。
一方で歯が痛いというような外傷の場合、痛みを取って欲しい、取ってあげた、という縦の関係です。
慢性疾患である歯周病はその場限りの処置では予後は良くなりません。
先進諸国の中で、メンテナンスで歯科医院に通うのが最下位なのが日本なんです。
痛みがあって治してもらいたい、という縦の関係でないとなおざりにしてしまうのが日本人なんです。
歯科医と患者様の関係が横の関係であり、定期健診に気軽に行けるような関係性が望ましい関係性なんです。
せんべいを食べると上顎と下顎のどちらの骨によく響いていると思いますか?
上顎なんです。
自分の声を録音して聞くと、違う声に聞こえませんか?
自分の声というのは耳からだけでなく頭の骨に響いて聞こえる骨伝道で聞こえます。
上顎の歯が2つ失うと徐々に脳への刺激が減っていきます。
そうなると認知症に繋がる可能性がでてきます。
最近ではコンビニで気軽に美味しいコーヒーが購入できます。ホットコーヒーには砂糖を入れると思いますが、アイスコーヒーにガムシロップを入れると思います。アイスコーヒーに砂糖を入れても溶けないのでガムシロップを入れます。ガムシロップには果物に多く含まれる果糖と同じ成分が多く含まれています。果物を甘く感じるのは体温ぐらいまでなんです。缶ジュースなどの冷たい飲み物には果糖が含まれているケースがあります。
世界的に肥満が増加した原因のひとつに砂糖入りの清涼飲料水があります。
フランスでは2011年に砂糖入りの飲料に対して約1円、
ハンガリーではスナック菓子やクッキー、砂糖が多い飲料水に5%~20%の課税があります。
ハンバーガーやジュースなどの中には太りやすい脂肪や砂糖が多量に入っています。
肥満の原因として高果糖液糖が疑われていて、使用を制限する運動が行われてきています。
高果糖液糖は異性化糖と言って、普通の果糖とは異なります。
高果糖液糖の使用量が肥満や2型糖尿病の増加が一致していますので子供のころから注意が必要です。
乳歯と永久歯はどちらが大切でしょうか?
永久歯と思いがちですよね。
3歳児でむし歯が多い子は12歳でも多い、
3歳児でむし歯が少ない子は12歳でも少ない、という傾向があります。
ということは乳歯も大切だということです。
乳歯の状態によって永久歯の状態も決まります。
ですので乳歯が親の歯と言えます。
中学生の歯科検診をしていると、幼稚園の頃むし歯が多かったことがうかがえる子もいます。
乳歯の状態の時からみなさん歯をきれいにしておいてください。
歯周病と糖尿病の関係を本で読んだという患者様がいらっしゃって、継続して歯石やプラーク除去に来院される方がいらっしゃいます。
また血糖値が下がってきたと言われるケースも増えてきました。
歯周病は慢性の炎症で、痛みが出にくく侵攻し、歯医者には行かくていいと思われてしまうのが実情です。
歯周病の治療によって血糖値が低下すると考えられています。
しっかりとしたお口の中のケアをしていきましょう。
1型糖尿病の方が通院も不定期でインシュリン注射も中断したりと、大変な状態でした。
自宅で昏睡状態になって重度の肺炎を起こしてしまいました。
また多発性肺化膿症を起こしてしまい、さらに敗血症を併発してしまうというかなり重度のことが起こってしまいました。
敗血症は細菌の侵入によって全身感染症で生命を脅かす臓器障害を起こします。
歯周病菌でも起こります。
なぜこの感染症が起こってしまったのか。
一つの原因として、長い間この方はむし歯や歯周病を放置して、歯周ポケットから歯周病菌が血液を介して肺にいきわたって、多発性肺化膿症を引き起こすことになったのではないかと言われています。
ちょっとの歯周病菌がすごい悪さをすることがあります。
口腔ケアをしっかりと身に着けておいていただきたいと思います。
キシリトールは天然甘味料です。砂糖と同じぐらいの甘さがあります。
むし歯菌であるミュータンス菌はキシリトールを食べることができます。
ですが、ミュータンス菌はキシリトールを消化することはできないんです。
その結果ミュータンス菌が消化不良でむし歯予防になります。
キシリトールを使い続けるとミュータンス菌が不溶性グルカンと酸が作り出すことができなくなります。
酸によって歯の表面が破壊されますのでキシリトールはすごいものです。
妊娠3ヶ月から5ヶ月の妊婦さんを対象にミュータンス菌の多い妊婦さんに、保険指導と同時に3ヶ月間100%キシリトールガムを1日4回噛んでもらいました。また一方で保健指導だけを行うという2つの群に分けてチェックをしました。
3ヶ月後、キシリトールを噛んでいた妊婦さん2人に1人がむし歯になるリスクがハイリスクからローリスクになりました。
生後9ヶ月、下の前歯が生えるまでキシリトールガムを噛み続けました。
その後子供たちのミュータンス菌を2歳になるまで調べました。
あくまでもキシリトールガムを噛んでいるのはお母さんだけです。
次回、結果をお話致します。
キリリトールガムを噛み続けることで、お母さんのミュータンス菌の減少することにともなって、子供たちのミュータンス菌も減少しました。
スプーンでふうふうしたり、口移しをすることでミュータンス菌はうつります。
ミュータンス菌が定着する時期を8.8ヶ月も遅らせることができます。
乳歯が生えそろうのは3歳から3歳半です。
乳歯は永久歯よりも大切という話をしましたが、その時期までお母さんにがんばってほしいと思います。
キシリトールの濃度についてお話します。
市販にあるものは100%は難しいと思います。
歯科専用では100%もあります。
キシリトールが50%以上含まれるガムを推奨します。
キシリトールガムの噛み方の裏技をお伝えしたいと思います。
ガムを噛んだら唾液を溜めて、すべての歯の表面に行き渡らせましょう。
それから唾液を飲み込みましょう。
皆さん、手元に手鏡がありましたらお口を開けて見てください。
舌、歯茎、唇、口蓋、頬粘膜、口底などがよく癌が発症する部位と言われています。
2002年に日本の頭頸部癌学会の集計によると口腔癌の好発部位は
舌:60%
下顎の歯茎:11.7%
口底:9.7%
頬粘膜:9.3%
上顎の歯肉:6.0%
口蓋:3.1%
となっています。癌の治療には病理検査が必要です。
歯科医師としての認識をお話したいと思います。
口腔癌について、大学では口腔粘膜疾患、悪性新生物について学びます。
口腔癌は好発部位が舌、50代~60代の方に好発します。
一般的には希少な癌という位置づけですが、死亡率は高く46.1%あります。
歯科医師では滅多に遭遇しないと思ってしまいがちですが、私たち歯科医師は発見して、すぐに口腔外科に紹介できるレベルにいるために常に勉強していく必要があります。
早期発見早期治療で救われる方もいらっしゃいます。
常に勉強していなくてはいけないというのが歯科医師の立場だと私は思っています。
歯科への定期健診に行かれている方は多いと思います。
お口の健康を保つためには、むし歯や歯周病の検査などを行っているところは多いと思います。
日本の歯科医院、歯科診療所は68,872件あります。
その中で口腔癌について視診、触診しているところは少ないんです。
当院ではメンテナンスの度に診ています。
歯科医師は早期発見することで死亡率を0%にすることが重要な役割です。
口腔癌が多かったアメリカは減ってきています。
歯科医師の意識の変化とオバマケアによって減ってきました。
逆に日本は口腔癌になる率が増えてきています。
口腔癌の検査、スクリーニングをすることが重要です。
口腔癌発生の危険因子についてお話をしたいと思います。
口腔粘膜は物理的にも、科学的にも刺激を受けやすいんです。
タバコ、飲酒、むし歯、合ってない被せ物、金属アレルギー、ウイルス性の粘膜疾患、唾液の分泌量の低下などが発癌しやい環境に繋がります。口腔癌は全部の癌の約30%を占める南アジア地域は噛みタバコをよく嗜み、タバコが口腔癌の発症に関与していると言われています。
次の4つの中で食べにくい食べ物はなんでしょうか?
(1)リンゴ
(2)巻き寿司
(3)お餅
(4)ビスケット
正解は全部なんです。他にもせんべいやゴマなどは入れ歯の天敵です。
皆さんのお近くにも歯が無くなったら入れ歯にすればいいや、と思っている方いませんか?天然の歯に勝るものはございません。歯が無くなってから気づくのでは遅いです。痛みは無くても定期的にケアするために歯科医院で診ていただきたいと思います。
当院では前歯でリンゴが食べられる入れ歯を保険内で作ったりしています。
最近、ジュースを欲しがるお子さんに困っているお母さんから相談を受けました。
幅が広くて浅いコップと間口が狭くて細いコップに同じ量のジュースを入れると、子供は間口が狭くて細いコップの方が量が多いと思って選びます。さらに、細長いコップに氷を入れて量を多く見せるとジュースが多いと思います。
500mlのコーラに砂糖はどれくらい入ってますでしょうか?実は60gも入っています。スティックシュガーが3gですので20本分です。かなり砂糖が入ってますが、甘く感じにくいのは炭酸によって舌が麻痺しているからです。炭酸が抜けると甘ったるく感じます。
甘味、酸味、塩味、苦味などの味覚は温度によって影響を受けます。
塩味は温度が下がると塩辛く感じます。
皆さんも温度で味が変わることを実体験してみてください。
歯の根っこは象牙質という少し柔らかい素材です。
phが7というのが中性を意味します。phが7より大きければアルカリ性、7より小さければ酸性です。
phが6~6.2になると歯の根っこの象牙質は溶けていきます。歯の上の部分のエナメル質が溶け出すphは5.5です。どちらが溶けやすいかと言うと根っこです。
健康の為に黒酢を飲んでいる方もいらっしゃると思います。お酢は酸性が強いので、歯がとても溶けやすいです。黒酢を飲んだ後は口をゆすいだ方がいいです。
私たち医療にたずさわる人間が飲みに行ったり一般的な会話の中で、歯科について聞かれることがよくあります。
歯について聞かれるとなんとなく自分の未熟さを感じてしまいます。
周りの方が気を使って歯について聞かれることに、歯科医師として未熟な部分と感じます。
大学時代、他の学部の学生の考え方はとてもおもしろかったです。
我々医療人としては一緒に色んな方々と楽しくお酒を飲んで、凝り固まった考えではなく、色んな引き出しを持っていたいと思います。
最近フッ素塗布の効果もありむし歯のお子さんは減ってきています。
ですが歯並びが悪かったり、下顎が引っ込んでいたり、お口がぽかんと開いているお子さんが増えてきています。
乳歯の時は歯並びがきれいだったのに永久歯になるときれいな歯並びでなくなった、とお母さん方からよくお聞きします。
また最近、お子さんの治療をしていて思うことは唾液をだらだらするお子さんが減ってきたと感じます。
食事の際に良く噛まずに水で流しこむことが多くなって、唾液の分泌が低下します。
そうすると、むし歯になりやすくなり、また味覚障害にも繋がります。
良く噛んでしっかり唾液をしっかり出すことが大切です。
汚れ(プラーク)が何で歯石になってしまうか分からない、とよく患者様から言われます。歯垢、プラークが長時間付着した状態が続くと歯石になります。口呼吸の方、ぽかんと口が開いている方は歯石が付着しやすく、歯周病菌が繁殖しやすくなります。
お口の中が乾燥すると菌が繁殖しやすくなります。
カレーを食べた後にすぐにお皿を洗うときれいになります。洗わずに一晩置いた後に洗おうとするとなかなかきれいになりません。
これが歯石と同じことです。食後、汚れが乾燥する前に歯を磨くと汚れが取れます。
口呼吸の方、アルコールをよく飲まれる方は、お口の中が乾燥しやすく、歯垢が歯石になりやすくなります。
当院でも小さなお子様も多く、1歳とか1歳半ぐらいの頃、泣いてしまう子もいます。しかし少しずつ歯磨きなども上手になってきて、2歳半ぐらいから自分で磨きたいという子もいます。お母様方におかれましては、ゆっくり大きく構えてあげてください。早く磨きたいというお子様の自立心も尊重しながらも、仕上げ磨きはしっかりとやってあげてください。
以前、歯磨き指導に保育園に行ったことがあります。その時に、まったく磨かずに「磨いて」と言ってくるお子さんもいました。ご家庭ではしっかり磨かれているのでむし歯は無いのですが、自立心を育てることも大切です。
菌が出す毒素のことをうんちに例えます。これが一番悪さをします。歯垢1g中(1円玉程度)にどれくらいの細菌がいるでしょうか?
(1)1000匹
(2)10万匹
(3)1億匹
(4)1000億匹
正解は(4)1000億匹です。
1gの人のうんちとむし歯菌のうんちとでは細菌はどちらが多いでしょうか?実はむし歯菌のうんちの方が細菌が多いです。お口の中は細菌がとても多いということを知っておいてください。お口の中を清潔にすることは体全身を守ることにも繋がります。
小学校で百ます計算がよく行われますが、スルメを3分間噛む前と噛んだ後で、百ます計算を行った結果、噛んだ後の方が結果が良かったという実験結果があります。時間も早くなり、正解率も上がりました。それだけ噛むということは脳に刺激を与えて活力を与えるということです。
高齢者の方で、歯がすべて残っている方と歯が全く無い方の頭蓋骨の重さは約2倍の差があります。歯が全くない方の頭蓋骨は約300g、歯がすべて残っている方は650gです。噛むということはとても大切です。
野生の猿と動物園の猿の口の中の違いについてお話します。
野生の猿は木の皮や木の実など固いものを食べます。野生の猿の歯は結構擦り減っています。動物園の猿はバナナや加工品などを食べます。
歯周病になりやすいのはどちらでしょうか?
動物園の猿なんです。固いものを食べるには良く噛まないといけません。良く噛むと唾液が良く出ます。唾液が出ると汚れを洗い流す役目をします。バナナなどは柔らかくあまり噛まずに済みますので唾液の分泌量は少なく、食べ物のかすが残りやすくなります。
人間の子供たちも柔らかいものが好きです。お猿さんと人間の違いは、歯医者さんがあるということと、毎日歯磨きできるという点です。
柔らかいものは口の中に残りやすいです。
例えば、包丁でリンゴを切ると包丁にリンゴはくっつきません。
では、包丁でケーキを切ると生クリームが包丁につきます。
柔らかいケーキの方が包丁につきやいです。
歯は天然の包丁のようなものです。
柔らかい食べ物はくっつきやすいので、歯ブラシで汚れを落とす必要があります。
ある8歳のお子さんが、前歯だけでなく全体にべっとりプラーク(歯垢)がついて来院しました。
歯科衛生士さんは口をすっぱくして、
「しっかり磨かないと虫歯になるよ」
「歯ぐきから血が出てくるよ」
と言います。
次回その子が来院する時、しっかりと歯磨きしていたでしょうか?
やはりそうではないです。普段のご家庭での癖はなおりにくいです。朝時間が無くて、歯磨きをしない子も多いです。
言っても聞いてもらえないケース、悪いのは患者様だと思ってしまいがちで、それでは問題解決になりません。
患者様との関係を見直してみましょう。
困ったものはあくまでも、虫歯や歯周病、歯垢です。
我々歯科スタッフは悪い虫歯などを退治することを手助けすることが仕事だと思って取り組まなくてはなりません。
前回お話した8歳のお子さんは、はやした歯科医院に来院してくれているのですが、段々歯磨きができるようになってきました。
歯垢を取って顕微鏡で見せてあげました。するといっぱい動いている細菌を見て気付いてくれました。
お子さんの心理状況を変えるのもひとつの手だと思います。
良く噛むと詰らないものは何でしょう?
(1)目くそ
(2)鼻くそ
(3)耳くそ
正解は(3)耳くそなんです。
噛む時に良く動くのは顎です。
耳の中は噛む時には動くんです。
歯が有る人と無い人では耳くその残り方も変わってきます。
入院している患者様耳くその溜まり方が酷い場合もあります。
歯と心は乳幼児の虫歯に関係があります。
だらだら食い、ソファーに寝そべってポテチを食べたり、おやつを食べ過ぎて晩御飯が食べられなくなったり、あると思います。
さて、おやつの与え方で良いのは?
(1)時間を決めて与える
(2)欲しがる時に与える
正解はもちろん(1)です。
歯の治療の時にお子さんはどんな態度を取ると思いますか?
(1)上手に治療ができる
(2)怖がっている
(3)泣く
(4)治療困難
(2)以降が多いでしょうか。
この2つの質問には関連性があります。
おやつを規則正しく与えている場合、お子さんも上手に治療ができるケースが多いです。
我慢、耐える心がお子さんにも大切です。
野生のお猿の目の前に切ったスイカを置いたら何から食べるでしょうか?
(1)皮
(2)種
(3)実
正解は種なんです。
猿は指でほじって種を食べます。
その後、赤い実にかぶりつきます。
種に一番栄養があることを本能的に分かっているんです。
法歯学、という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
法医学の世界ではDNA鑑定がよく用いられますが、DNA鑑定はまだ20年経っていません。
その他の鑑定にはどんなものがあるでしょうか。
指紋、血液、毛髪、それから歯があります。
東日本大震災が記憶に新しいですが、その時も歯による鑑定は使われています。
古いものでどんなものが発見されたでしょうか?
北京原人、ジャワ原人なども最初に発見されたのは歯です。
恐竜の存在も歯の発見から始まりました。
8020運動 ― 80歳で20本の歯を残そうという運動です。
8020運動のきっかけとなった食べ物は何でしょうか?
(1)酢ダコ
(2)バナナ
(3)かまぼこ
正解は酢ダコです。
年齢よりも歯の数が重要です。
お年寄りの好きな食べ物BEST5は、魚、野菜、果物、肉、豆腐 です。
お年寄りが好きだけど食べられない物BEST5は、スルメいか、肉、豆、せんべい、リンゴ です。
60歳以上の方が歯について困っていることの80%は入れ歯の不便さです。今は前歯で噛み切れる入れ歯もあります。
フッ素について誤解されている方もいらっしゃいます。
フッ素を塗ったのに子供が虫歯になった、と仰る保護者の方がいらっしゃいます。
歯を攻撃するものはプラークです。歯を防御するものにフッ素があります。虫歯ができやすい環境でフッ素塗布は効果があるでしょうか。まずは、攻撃しているプラークを歯磨きで取ってから塗布することが大切です。
フッ素の効果を10点としましょう。70点以上なら虫歯になりにくいと仮定します。おやつを規則正しく食べ、歯磨きをきちんとする子が80点としてフッ素を塗布すると90点ですので合格点です。おやつの時間もだらだらで、夜だけちょっと歯磨きをする子が40点としますと、フッ素の10点を足して50点です。それでは虫歯の改善はできません。ですので、フッ素塗布の前にしっかり歯磨きすることが重要です。
虫歯の菌、ミュータンス菌は砂糖をたっぷり与えて37度で培養すると40分後に2匹に増えます。 ミュータンス菌の大きさは0.5マイクロミリ~10マイクロミリです。 さてクイズです。 仮に1マイクロミリとして、東京スカイツリーの634mの高さになるまでどれくらいの時間がかかるでしょうか? (1)20時間 (2)400時間 (3)1000時間 正解は20時間です。 東京からロンドンまでミュータンス菌で繋げると33時間です。 ミュータンス菌の増えるスピードはものすごく速いです。
誰でもできる簡単な歯磨きチェック法をお伝えしたいと思います。 歯磨くのと磨けているのは違います。 透明なコップに水を2、3センチ入れます。 歯磨き粉を付けずに歯磨きをします。 歯ブラシをコップの水で洗います。 水を入れ替えて歯磨きをして、同じようにコップの水で洗います。 水が濁らなくなったら歯がきれいに磨けたことになります。 毎回では苦痛になってしまい続きませんので、夜だけやる等少しずつはじめてみてください。
高齢者の方で何らかの全身疾患がある場合があります。家族の方やケアマネージャーの方が疾患を完全に把握できているか、判断しないといけません。私たちが持っていくのは、ポータブルな道具と自動血圧計、酸素飽和度を測る機械パルスオキシメーター、携帯用の酸素なども持って行きます。私たちは危険をなるべく減らすために診療室でスタッフとのミーティングと訓練を行っています。歯科衛生士を連れていった時にもドクターと歯科衛生士、またはケアマネージャーとの連絡などしっかり行ったうえで訪問診療を行います。
さて、クイズをお出しします。 人の永久歯は何本あるでしょうか? (1)20本 (2)28本 (3)44本 正解は親知らずを抜くと、(2)28本です。 タバコに含まれる有害物質は何種類あるでしょうか? (1)50種類 (2)100種類 (3)200種類以上 正解は(3)200種類以上です。 動物園の猿が虫歯になりやすい時期はいつでしょうか? 正解は季節ではなく行楽シーズンです。 行楽客が食べ物をあげることにより、行楽シーズンは猿のお口の中が汚れます。 これと同じ光景ありませんか? おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんにお菓子をあげていませんか? このことが虫歯に繋がることもありますのでご注意ください。
歯医者さん、衛生士さんで虫歯になったことが無い、という人が最近は多いです。 ということは、実際に専門家から子供たちに虫歯の痛みメンテナンスの大切さが伝わっているか心配になりませんか? 噛めなくて一番困っているのは誰でしょうか? 高齢者の方です。 8020運動という運動があります。 80歳で20本の歯を残そうという運動です。 最近では歯が残っている方も多くなってきており、しっかり噛めると認知症にもなりにくくなります。 ですが、絶対数としては歯が無い方はお年寄りには多いです。 お年寄りに実体験を子供たちに話してもらった方がいいのではないかと思っています。 諫早でも行政の方にもお伝えできればと考えています。 お年寄りと子供たちとのふれあいにもなります。
口の中、全く噛まなかったものと5回噛んだものを、ペプシンと塩酸と一緒にして、胃と同じような状態にして、1週間乾燥する実験をすると、5回噛んだものの方が小さく消化されています。 噛むと噛まないでは全く違います。 食中毒の菌O157が最初に見つかったのはハンバーガーです。 ハンバーガーの中のハンバーグのミンチは約1000頭ぐらいのお肉が混ざっています。 その中に1頭でも感染していると汚染物質です。 しっかり100℃以上で良く焼いていれば、菌は死滅すると言われています。 良く焼けてなく、また噛まずに飲み込んでしまうと、菌がそのまま胃に入ります。 胃液は塩酸が含まれていてかなり強い酸ですが、そこでも殺菌できずに腸まで行ってしまいます。 良く噛んでいれば、唾液や胃酸と接触する表面積を増やすと殺菌されやすいです。 歯が無いと病原菌にも罹患しやすくなります。 良く噛むということは病気の予防にも繋がります。
子供が歯磨きをさせてくれなくて困っているお母さんも多いと思います。 1歳半から2歳半が一番磨かせてくれない時期です。 子供が歯医者で泣くには3つあります。 怖くて泣く、痛くて泣く、甘えて泣く、この3つの複合な場合があります。 もし甘えて泣いているのであれば、心理的なところを突くと変わってくることがあります。 虫歯予防の物差しだけでなく、心理的な物差しでの中間点を考えながら診療するのが歯科医です。
柔らかいものばかり食べるから最近の子供は顎が小さい、とよく言われますが実際は大きな間違いなんです。 戦時中、何を食べていましたでしょうか? 栄養としては現代の食事の方が豊富です。 実際栄養を取ることによって、歯の大きさがわずかに大きくなってきています。 栄養状態は良くなったのですが糖分が含まれる食品も多く、虫歯のリスクは増えました。 発展途上国などでは歯科医がいないような島もあります。 歯と歯がよってきてスペースがなくなって歯並びが悪くなるということがよくあります。
今日はモンゴルを題材にお話をしていきたいと思います。 身近なモンゴルの方と言えばお相撲さんです。 モンゴルの方は歯が健康な方が多いです。 有名なモンゴルの食べ物に羊があります。 羊のお肉は固いです。 モンゴルの遊牧民は羊のお肉を前歯で引きちぎって奥歯で食べます。 最大限口の中を利用しています。 遊牧民の方たちは虫歯が少ないんです。 ですが、モンゴルもシュガーロードの一部に入ってきていて、遊牧民の方たちにも虫歯が見られるようになってきています。
モンゴルの首都ウランバートルの子供の口の中の状態が、日本の高度成長期の子供の口の状態と同じになってきています。 甘いものが流行りだして柔らかいものも食べるようになり、虫歯が急増してきました。 ある幼稚園では虫歯の罹患率が92%というデータもあります。 日本では歯科医院が多いですが、モンゴルはまだまだ歯科医院が少ないので、虫歯を処置している子供は約3%しかいません。 小さな時から甘いものを食べ、お母さんがしっかりと仕上げ磨きをしていないと、大人になっても肥満、歯周病、糖尿病などの生活習慣病に繋がりやすくなります。