薬剤耐性対策についてお話し致します。
抗菌薬(抗生物質)を使用すると常在菌叢(じょうざいきんそう)の多様性が減少し、薬剤耐性菌を生み出してしまいます。 実際に診療の現場において、私達(医療従事者)が気を付けなければいけないことは、抗菌薬が処方されると適正量の 使用がうまくできていなければ、その後1年にわたり尿路や呼吸器からの薬剤耐性菌を検出することがあるのです。
- 私たちの体には、数多くの細菌が共生しており、皮膚、口腔内、腸管内に常在細菌叢を形成しています。この常在細菌叢の持つ防御機能が外来性の薬剤耐性菌に対しても生存を困難にする力を持っています。常在細菌叢のはたらきとして宿主である我々の体の栄養、発達面、代謝や免疫機能の調節を行います。
- 抗菌薬(化膿止めなど)を適正量の内服で、患者さんに出したとしても、適正に飲まれなければ耐性菌数は増加します。口腔内の抜歯や化膿止めに関しては、唾液の殺菌作用も考慮すると体の他の部位が怪我した時に傷をおって化膿した時よりも早く治癒していきます。
そうすると、薬剤を投与するよりも常在菌叢をしっかりとプロテクトすることもでき、今後の自分の体の健康を守っていけます。
しかし現在の日本では一日約200万人もの人々が内服や、静脈内より抗生物質を投与されています。2050年までには現在癌で死亡している人口を上回る1000万人もの人が治療薬のない薬剤耐性菌の感染症で命を落とすと言われています。
- 当院でも抗生物質の投与は減少してきています。しかし(歯科の臨床の場では、減少傾向にありません。)今後の注意が必要です。
2020年コロナウィルスが拡散していますが、抗生剤は効果がありません。なぜかというと細菌に対しての薬が抗生剤なのです。ウィルスに対しては、自分の免疫力をどう維持し、健康であることを目指しているかが基本です。